
店主インタビュー 人が集まる店には、理由がある。
姫路・網干。
古い町並みの一角に、
不思議と長居してしまう店がある。
本が並び、
酒があり、
時々パンの香りがする。
けれど、
この店が本当に売っているものは、
きっと別にある。
誰でも、ふらっと
立ち寄れる場所を。
姫路市で生まれ育ち、2011年に東京の大学へ。
そこから8年間、東京で暮らしました。
2019年に姫路へ戻り、知り合いの社長に声をかけてもらったことをきっかけに、今の店の原点となる仕事に関わるようになりました。
そして2023年。
この場所を、自分の店として開くことになります。
店を始める時に、まず頭にあったのは、
「誰でもが、ふらっと立ち寄れる場所を作りたい」
という想いでした。
目的がなくてもいい。
本を買わなくてもいい。
少し休みたい時に、なんとなく立ち寄れる。
そんな“余白”のある場所を、この町に作りたかったんです。
小売業をやってみたかった。
これまで接客業には長く携わってきました。
人と話すことや、誰かと時間を共有することは好きでした。
でもその中で、ずっとどこかにあったのが、
「小売業をやってみたい」
という気持ちでした。
作り手の想いや背景を、自分の手で届ける。
生産者の方の近くにいられる感覚が、自分にはとても魅力的に映ったんです。
どんな商売の形がいいかを考えていた時、偶然テレビで見たのが“シェア型書店”でした。
「あ、これや。」
その瞬間、不思議なくらい自然にイメージが繋がりました。
本か酒ではなく、“本と酒”。
この店は、本屋でもあり、酒屋でもあります。
でも、自分の中では「本か酒」ではなく「本と酒」
であることが大事でした。
本だけでは生まれない時間。
酒だけでは出会えない人。
その間にある空気感や会話に、この店らしさがある気がしています。
まだ正解は分からないけれど、
この店だからこそ立てる場所を、少しずつ見つけていきたいと思っています。
想像以上に、
“関係人口”が増えていった。
3年続けてきて、一番驚いたことがあります。
それは、この場所を通じて関わってくれる人が、想像以上に増えたことでした。
店子さん。
メーカーさん。
出版社さん。
作家さん。
いろんな人との繋がりの中で、この店は存在してきました。
一人で作った店というより、
関わってくれる誰かに支えられながら、少しずつ育ってきた場所なんだと思います。
だから今でも、
「こんなところに、こんな店あったんや!?」
そんな声をもらえると、やっぱり嬉しいですね。
いつか、“やっと来れた”と
言ってもらえたら。
この店の前は、小学校の通学路になっています。
学校帰りに、ふと店を覗いていく子どもたちもいるんです。
今はまだ入れなくても、
5年後、10年後に大人になって、
「やっと来れたわー。」
そんなふうに言ってもらえたら嬉しいなと思っています。
この町の景色のひとつとして、
自然に残っていく店になれたらいいですね。
手放したくなかったのは、
“人との繋がり”でした。
もちろん、楽しいことばかりではありませんでした。
店を続けていく中で、
「お金が尽きたら、この夢も終わるかもしれない」
そんな不安を感じた時期もありました。
でも、苦しい時にずっと考えていたのは、
“人との繋がりだけは手放したくない”
ということでした。
スタッフ。
お客様。
酒蔵さん。
出版社さん。
店子さん。
この場所を通して築いてきた信頼を、
簡単になくしたくなかったんです。
だから続けてこられた。
店を守りたかったというより、
ここで生まれた関係を守りたかったのかもしれません。
“この店だけ”では
終わりたくない。
ここから先の夢を考えた時、
自分の中では、
「この1店舗だけではダメだ」
という想いがあります。
同じように、
リスクを取って、
自分の好きなことを信じて、
楽しく商売をする人が増えてほしい。
昔から、学級委員長とか、
クラブのキャプテンをやることが多かったんです。
みんなを引っ張るというより、
「レジャーシート敷いて、みんなで楽しもうぜー!」
みたいな感覚に近いんですけどね(笑)
同じ志を持った人たちが、
自然と集まってくる。
そんな場所を、この店から少しずつ作っていけたらと思っています。
「“また来たい”が、生まれる場所へ。」
本がある。酒がある。人がいる。
この店には、特別な何かがあるわけではないのかもしれません。
でも、
気づけば誰かと話していたり、
知らなかった本を手に取っていたり、
つい長居してしまったり。
そんな小さな時間の積み重ねが、
この場所を作っている気がします。
「こんなところに、こんな店あったんや。」
その驚きが、
これからも誰かの日常の中に増えていけば嬉しいです。
Access アクセス
〒671-1234 兵庫県姫路市網干区新在家644
TEL:079-280-4347
営業時間:
本と酒 鍛冶六/平日10:00~17:30/土日祝10:00~19:00
カジロクパン舗/毎週土日11:00~(無くなり次第終了)
※「カジロクパン舗」の営業は月4回。
詳しい日程は、公式Instagramで発信しています
[ 駐車場のご利用について ]
店舗の斜め前に専用駐車場がございます。
専用駐車場がいっぱいの場合は、レストラン「旧網干銀行 湊倶楽部」の駐車場をご利用ください。
